スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

野球におけるボールの違いについて(プロの話)

JUGEMテーマ:野球

 11月15日のニッカン野球において配信された古川真弥氏の記事、「野球の国から・平成野球史」の十二回目、「今、ボールが飛ぶよね」に、元西武の監督で名将とされた森祇晶氏のインタビューが載っていました。
 記事の内容は、森氏にいまの日本球界について提言をしてもらうというもので、四つの項目に分かれていました。<1><2><4>に関しては、ボールが飛ぶだとか外国人の契約におけるもので、人によって「そのとおりだ」、「いやそれは違う」という風に考えの分かれるごく普通の提言でした。
 しかし<3>は提言というより妄言になっています。内容は国際大会やメジャーで使われているボールが国内とは違うというものです。サッカーやテニスは世界規格で世界共通のボールを使っていて、野球のボールが世界統一できないのは、業界との癒着だと述べています。
 これは明らかな間違いで、テニスも野球と同じく規格内のボールであれば、どこのメーカーのものでも使用ができ、四大大会では大会ごとに使用球が違います(全米はウィルソン、全仏はバボラ、全英はスラセンジャー、全豪は19年からダンロップ)。
 また、当然競技している国の多いサッカーも世界共通のボールを使っているわけがなく、ワールドカップでは毎回新しいボールが使用されています。今年おこなわれたロシア大会においては、決勝トーナメントから新たな公式球が使われたほどです。当然事前に国内リーグで使用していたわけがありません。
 他にも、森氏は例に出していなかったですが、体操競技においても大会によって使用する器具が違います。先日も世界大会で白井選手が慣れない中国製器具に苦戦していたのは、記憶に新しいと思います。野球と同じアメリカ発祥のバスケットボールにおいても、FIBAとNBAで使っているボールの大きさは違います。それどころかルール自体も違います。
 そしてなにより、アメリカ国内においても、マイナーリーグで使用されているボールとメジャーリーグで使われているボールとは違います。彼らもまたメジャーのボールに適応し、活躍しているのです。それができなければ、淘汰されていくだけのことです。
 以上のことから、森氏の発言は明らかな間違いであるといえます。
 基本的に道具はランニングシューズだけのマラソンや短距離走においても、連盟が用意した靴を使い、みんな一緒の靴でやりましょうということにはなっていないし、なるはずもないでしょう。(ただし、靴と違いボールは自由に選べないので、例としては正しくないかもしれません)。
 競技をおこなう場所やバットも違うのに、ボールだけは完全に一緒のものを使ってやろうという発想が理解できません。仮に全世界で統一したとして、もっと下の年代も統一するべきだというのでしょうか。
 知識のない森氏が饒舌に僻事を述べるのはインタビューなので問題ないと思いますが、それをスポーツを生業とする日刊スポーツが、注釈なしでそのまま載せてしまうのは、首を捻らざるを得ないです。
 曲がりなりにもスポーツ新聞の記者ならば、テニスボールやサッカーボールが世界中で統一されていないことくらいは知っていて当然だと思いますし、世界共通のはずがないとツッコミをいれたくなるのではないでしょうか。少なくともサッカーのワールドカップ記事を多く手掛けている日刊スポーツとなれば、大会ごとに新しい規格のボールが使われているのは、調べなくても知っていると考えざるを得ません。最悪知らなかったとしても、本当にそうなのかを調べることくらいはできたはずです。
 森氏に忖度して間違いを指摘できなかったのなら、被害を受けるのは読者です。日刊スポーツという社会的に信頼を得ている媒体において、野球界においては名を馳せた森氏が発言したのなら、それは事実として受け入れられる可能性が高いからです。(森氏は記事内でテニスやサッカーのボールが世界で統一されていないなんてありえないとまで述べています)。
 こういった嘘を垂れ流しているようでは、取材すらしていないネットの記事と、たいして変わらない信頼しかできなくなります。最近の日刊スポーツの記事は、論拠の薄弱なものが多いと個人的には思っているので、言われたことを全部真に受けるのではなく、果たして本当にそうなのかと、一度立ち止まって考えてから記事にしていただければと思います。
 最後までお読みくださりありがとうございました。
 

スポンサーサイト

コメント